夢診断
むらい はくどう
今、私の言葉が聴こえていると思います。こうやって表記されているこの文字を、あなたが読むことによって、私の言葉があなたの頭の中で発生するのです。
あなたは公共施設内にある展示室からエントランスロビーに出てきました。展示室の出口からトイレ方向に向かう通路の一角に、テーブルが設置されています。それが、マイナーな印刷物が置いてある臨時コーナーなのです。
通用口までのあいだで、その展示コーナーが目に入ることになります。何が展示してあるのだろうと思って、あなたは何気なくそのテーブルに立ち寄るのです。A5サイズの本がほとんどでした。文芸同人誌のようなものが多く、その他、A4サイズの無料案内本やA6サイズの個人出版された小説のような物がありました。それは、薄っぺらで格調のない印刷物のように見えました。
自費で個人出版された本に対して、あなたは偏見を持っていません。こうやって、手に取って見ようとしているからです。自分だけで傑作を探すには、時間と労力が掛かり過ぎるから、世間で評価されているものを読みたい気持ちはわかります。多くの人たちはマイナーな出版物を敬遠します。
個人出版されたような印刷物は見た目が安直です。若者が発行する個人出版物の多くはつや出しされた表紙に少女漫画に出てくるようなキャラクターが描かれてています。外見が安っぽいと中身も同じに見られそうです。そのコーナーにおいてある出版物は随筆や短歌の同人誌が多数を占めています。単品の小説本は少数だからか、逆に目立つともいえます。同じような冊子がまとめて平積みされている中から、A5サイズの出版物をあなたは手に取ることにしたのです。
その中の一冊がこれなのです。あなたは今、この小冊子のページを開いているのです。手にしているいる紙面の中に日本語の文字が並んでいます。最初、あなたはこの小冊子を手にしようとした時、たいしたものではないと思いました。それでも、続きを見ようと次のページを繰ろうとしているのです。ここまで、読み続けられているということは、最低限の読解力が備わっているということです。この状況を理解できるものと判断しました。それでは、続けることにしましょう。
これは、私の記録でもあるのですが、特定されない誰かの記録となるのです。この中の一文に、「あなたはこのページから目を離して、改めて表紙を見直しました」と表記されています。即物的な小冊子が存在するかどうかは別にして、あなたの想像の中では表紙を見ることになるのです。
表紙にはやや大きな漢字一文字で「繋」と印刷されています。上の方には小さめな活字で文芸同人誌と付記してあります。ローマでTuNaGuとあるので、ツナギとかツグではなくて、ツナグと呼ぶのでしょう。
あなたはその同人誌らしき裏表紙の目次を開きました。目次には、「夢診断 ある女のレポート」というタイトルがあり
ました。
目次にあるそのページを開きました。
夢の中に女が出てきた。その時、見ているのが夢だと認めながら、夢を見続けることができた。見ているのが自分の夢なのだと、自分で納得しながら見る夢なんてあまりない。しかも、見た夢を鮮明なまま記憶しているので、振り返ることが容易だった。夢を思い出せるなんて珍しいことだ。めったにないことなので、記録しない手はない。夢の中の情景を思い出して、詳細に書いてみることにした。
夢の中に出てきた女は女優似だった。数年前まで映画やテレビでよく見掛けた。女優の名前を思い出せないでいる。名前なんてどうでもいい。映画名でネット検索すれば関連した登場俳優が出てくる。女優名などはいつでも調べられる。その女優が出演した過去の映画の多くはヒットしていた。
おでこが広く賢そうで、好みの顔だちだった。映画やテレビドラマの主人公は終了まで鑑賞に耐えなければいけない。視聴者自身が配役に没入したいからか、たいていの主役は美形である場合が多い。今回、一番の好みだった女優が夢の中に登場した。覚醒剤所持疑惑事件があってから見なくなった。覚醒剤の使用証拠が出なかったので、起訴されなかったが、その事件以降は映画界に復帰していない。
夢の中のことを述べよう。
隣の部屋もこちらの部屋も和室だった。両方の部屋は障子戸で仕切られていた。布団に横たわりながら、隣の部屋の様子をうかがっていた。今、思い起こせば、部屋と部屋のあいだに障子戸があった。そして、暗かった。それなのに、透視したように女の行動が見えていた。足音だけで彼女の姿を連想しただけかもしれない。女優に似た人物が隣の部屋に戻って来た。視線を向けたちょうどのタイミングで布団に入った。どこからか戻って来たように見える。
障子戸を開いてみた。布団が数枚ある状況からして、少人数で雑魚寝しているみたいだった。性別で部屋ごとに別れているのかもしれない。こちら側と同じ間取りの部屋に、同じような布団が敷かれ、配置されていた。各々の布団には誰が寝ているのかわからない。そもそも、布団の中に人がいるかも定かではない。グループで寝ているのかもしれないし、その女と二人きりかもしれない。
周囲に誰かがいるとすれば、目覚めていて、布団の中で聞き耳を立てているかもしれない。そんな設定の下にいるということは、夢の中で性的な衝動を起こしていけないということになるのだろう。
「何をしているのかな?」と小声で話し掛けた。
「私はいい大学に通っているの。明日、東京に帰る」
こちらからは何をしているかと聞いたのだ。大学の優劣など聞いていない。的外れな返事に思える。
会話はこれだけだった。
これだけしか情報はない。これだけで、夢の中の状況をどう解釈すればいいのだろう。女は自分からいい大学と言った。夢の中の状況を確かな映像で捉えているつもりでいた。だから、相手とのやり取りも正確に記憶しているものだと思い込んでいた。実際は短い会話しか覚えていなかったのだ。それ以上は思い出せないでいる。会話に関しての記憶が、曖昧だったことになる。そうなると、映像の記憶も心もとないものになってくる。ここからは、推定するしかない。
女は自分からいい大学だと言った。ということは、その前にこちらからその女の就業業種などを訪ねていたのだろう。プライベートに立ち入ってはいけないというルールがあるのかもしれない。大学生だと知ったとしても、大学名を聞けないから、偏差値の高い大学なのか、質問したままでいる可能性もある。消去法で考えてみる。同窓会ではなさそうだ。異業種交流会か何かの催し物があって、どこかの宿に泊まっているという設定なら筋が通る。女と直ぐに性交渉に入れなくても、今後に期待を持って宴会場で話し掛けた可能性がある。
暗かったので、深夜になっていたのだろう。もしかすると、他の男と密通してきたかもしれない。モテ女かもしれないのに、周囲を気にすることなくこちらから話し掛けたのだ。普段の自分からは想像できないほど大胆だ。しかも、その女が即答したのだ。暗闇の中で相手の視線を感じながら喋った。疑問に思うのは何も当てがないのにどうして若くてきれいな女に話し掛けたかということだ。
ナンパしようとして、宴会時に女に話し掛けていたのかもしれない。高難度の女に駄目もとでチャレンジしようとした可能性がある。返答があったということは、無下に断られたわけではないのだ。彼女はわざと壁を作っていて、その壁を乗り越えてほしいかもしれない。いい大学ってどこだろう。何を基準にしていい大学と呼ぶのだろう。自他ともに認めるいい大学とは世間一般では東大を言うのかもしれないが、それ以外にも東京には名門校が数多くある。
その女とそっくりの女優は映画界から消えていた。実は別にもう一人好きな女優がいた。その女優は観音様のようにふくよかな顔だちをしていた。最近、その女優が自殺した。同時期に好男子の俳優も自殺した。どうして自殺したのかの憶測のゴシップが飛び交った。昔から役者の自殺は目立つ。売れっ子俳優は仕事が多過ぎて精神が休まることはないのだろう。外見だけでは鬱が進行していてもわからないのだ。
主役を張るほどの役者は、数多くの映画の中で、多種多様な設定で演じてきた。どんな役でもこなせるのだが、現実の中では、本来の自分をさらけ出せなかったのだろう。現実の中では自分がどう演じていいのかわからなかった。本来の自分の姿をどう示していいのかわからないでいたのだ。ひたいの広い女優は、自ら命を絶つくらいなら、女優業から離れることを選んだのだ。所属事務所や自身に及ぶ損害なんかは構っていられない。命を代償としてまで、続けたくなかっただけなのだ。
思い出した。
誰かから「ここまでを自己分析せよ」と言われていた。そうであるなら、夢を解釈しなくてはいけない。課題を課されたことになり、レポートを提出しなければいけないことになる。
大好きだった女優が夢の中で復帰したのだ。彼女との関係性をどうするかで、夢の診断が下る。目の前に忽然と現れた現象だった。これは一次審査でもある。もし、レポートの提出義務があるならば、審査される立場となるのだ。
ここまでの状況で読み取れることは、この夢を見た者はインポではないかと推測される。セックスをしたいという漠然たる欲求はあるのだが、実行するには身体がついていかない。性行為まではいかなくていい。だが、寂しいので、気持ちを通わせたいのだ。だから、自分の中にそんな状況をつくったのだ。しかも、意識下には美人女優と交わりたいという欲求もあるのだ。
三流大学しか出ていない男には学歴コンプレックスがある。自虐的にならざるを得ないのに、虚栄心の高い女に引かれるらしい。しかも、男自身は優柔不断な性格なので、自分では初動の判断が決められないことがある。だから、女から高圧的に出られた方が楽なのだ。さらに、いたぶられることが好きなマゾヒストだ。
この記録の中では、虚構の手掛かりを得ようとしているらしい。さらに、自分自身を見立てて、自分をどう解釈するかも求められている。
心が病んでいるなら、治せるかもしれないのだ。今後も受診の存続を望むなら、女との関係性を設定せよと助言された。レポートに基づいて診断するらしい。次回以降も物語形式でレポート提出するのだ。治療のための提出用のレポートとして、ここに記録している。表現は自由だというから、逆に制約に感じていた。
夢の中で女と遭遇したのだ。夢であると自分で認めながら見る夢なんてあまりない。その時は夢だと認めながらも、夢を見続けることができた。珍しいことに、夢を記憶しているのだ。夢を思い出せるなんて滅多にないことだ。せっかく、覚えているのならば、記録しておかい手はない。そんな流れから、自分の夢の中の情景を思い出し、子細に書いてみることにした。
単なるイマジネーションだろうか? 小冊子にして公開しようとしていた。その際のタイトルとして、「夢の中 ある女のレポート」に決めていた。
全く別の展開を試みたい願望もあった。自分の可能性を試すためだった。心境に変化があるなら、タイトルを「夢診断 ある家電との交接体験の記録」に変更するだろう。
個人のフリーペーパーよりは同人誌の方が読者の目に触れる機会が増える。少なくとも、同人誌の筆者同士が読むだろう。実現可能ならば、同人誌の中の一遍として掲載することにしよう。
通路には各種小冊子が置かれたコーナーがある。平積みされた一角にはフリーペーパーもある。フリーペーパーではなくて、雑記類をまとめて一括掲載した同人誌を選び、「ある家電との交接体験記録」と目次にあるページを開いてみる。
これはある商品を取材した時のメモの掲載です。
スマートフォン等で閲覧する大手のニュースサイトの記事が新聞に換わる現代の情報源になっていています。老若男女、誰もが目にするので、刺激的なコラムは自主規制の対象になっています。規制に掛かり、大手の商品紹介サイトに提出した原稿は大幅に訂正を掛けられました。
苦労して取材した多くの部分が公開できませんでした。ありのままで残したいのが筆者の願いです。そこで、このような媒体を利用したのです。内密に残したかったので、簡易でマイナーな冊子にしました。
ここでは、なるべく臨場感のあるものにしたかったので、取材メモをできるだけ加工しない形で載せてみました。どうぞ、最後までご覧いただき、この対象物品に興味を持っていただければ、筆者としても幸いです。
・最新のダッチワイフとも言える商品を購入した。
これはその時の取材メモである。刺激的な体験を得ることができた。現実とイメージが混同してしまいそうな体験だった。
・大手の配信会社から商品の紹介記事を書いてくれと依頼があった。物が物だけに通常の動画配信ができないらしい。それで、その商品の紹介コラムを受け持つことになった。それがこの取材メモとなっている。
・私は購入に至るだろう状況とか、商品が売れる背景ばかり見てしまう。いつも、視点がずれがちだ。余計なことも書いてしまう。今は仕事をもらえるだけでありがたい。せっかくのチャンスをもらったので、ここではレビューに徹してみよう。利用者側の立場で見ることが大切だ。
・いくつかある大手の通販サイトでは購入できなかった。限られた業者に販売が限られていた。そんな状態に至ったのは最近のことらしく、疑問が残る。販売にあたり政府の特別な認可がいるようになったらしい。そのサイトだけは既に認可が下りていた。
・匿名での購入は絶対にできない。国民ナンバーの登録が必須だ。下層階級カードであっても受付はしてくれる。ただし、クレジットカード会社側の個人決済履歴情報の提供を承諾しないと購入はできない。審査に待ち時間があった。どうも、購入時に個人を診断しているようなのだ。現政権の方針で一定期間が過ぎるとレポートの提出義務を課せられる。結果次第では商品を没収されるという。
・専用サイトでは販売後のアフターサービスに重点を置いているのかどうか知らないが、購入時に携帯メールの他に2つのメールアドレスを登録しなければならなかった。特別高額な商品ではないと思われるのに、顧客管理が厳重なのに違和感を覚えた。
・多くの人達が最も購入しやすい価格帯の機種を選定せよと編集担当から指示された。そこで、ベストセラーの機種を選んだ。ややスペックの高いノートPCと同じ価格帯だった。
・宅配されたのは大きな段ボールだった。段ボールのプリント部分には業者名が明記されていた。短期の外泊も可能な緊急時対策用グッズは全世帯に配布されている。それと同じ梱包サイズだった。汎用サイズの宅配便は受取側を気づかっているのだろうか? 同じ系列機種の使用頻度結果がビッグデータで出ている。レンタル店の使用実績数を加えると、人口の半分近い数の稼働実績がある。それなりに普及している。みんなで使えば怖くないはずなのに、配達の何に気づかっているのだろう。
・自室で大きな梱包を開いた。女性でも同性の型を選ぶ人がたまにいるらしい。私は男子として女子型を注文したので、女性型はノーマル扱いだった。ビニール製のちゃちな物かと思ったが、特殊素材だと説明書に出ていた。確かに素材を触れてみると人肌そのものだった。
・大きな人形の形をしていたが重量そのものは10キロにも満たなかった。人形型のダッチワイフには透き通ったネグリジェのような薄い包装生地が被せられていた。商品重量の大部分は人形の中に装填する小さな機械だった。その装置の取り外しができた。バッテリーが内蔵されている。
・別に小型装置が梱包してあり、人形にアジャストするような部品だった。その1点を含めて総数で5つほどしかなかった。欠品がないかを見るチェック表もそのうちの1点だった。
・メガネのようなものがあった。レンズ部分をカバーで被うようになっている。花粉症対策のメガネに似ていたが、全体が黒かった。ゴーグルタイプのサングラスのようだった。花粉が入らないようにするのではなくて、メガネの脇から光が入らないようにするためだった。メガネを装着すると真っ暗にしか見えない。
・スマートフォンでユーザー番号を登録してホームページにアクセスする。画面上でマニュアルを見ることになる。後は同梱包されたシリアルナンバーで接続するだけだった。
・女性型家電本体の股のあいだにある装置はペニスの挿入口だ。そこはシリコンより進化した素材で精巧にできていて、人間の女性器が完全にコピーされていた。注文時に性器年齢を確定しておく。十代後半から選べたので、一番下の年代で注文した。コンドームを装着して使うのだが、女性器は取り外しができて洗えるようになっていた。
・女性器の構造はネット検索することで画像を見られる。だから、ここでは省略する。先ずはバッテリーに充電を済ませてから使用する。張りぼて人形の発展形だとばかりだと思っていたが実際は全然違う。その使用感想は個人差によって差異があるだろうから、簡単に記述することはできないだろう。個人的な感想は別に書くことにする。
・人間の外見に類似した太めとかグラマラスもあり、細身までいろんなタイプが選択できた。私は専用ホームページを開いて女優名を入力した。具体例がある方が起動時間が早い。ダウンロードが済むと使用可能だ。依存症になると精神に異常をきたすらしい。仮想と現実の境界線がなくなるからだ。なぜ、個人のデータが厳格に管理されているのか、わかりかけてきた。犯罪履歴と連動した嗜好調査もあるのだろう。そのダッチワイフは見ようによっては女優そのものに見えたのだ。虚像が女優に似ているのではなさそうだ。推察するに、見る側の意識が改変されている可能性がある。
・仮想現実を見るには、以前まではスキージャンプの選手のような分厚いゴーグルを装着しなければならなかった。スマートフォン装着タイプは旧式になった。このメガネタイプを選ぶユーザーが断然増えているらしい。サングラスタイプは取り扱いが便利だ。小ぶりのメガネを掛けているようだ。メガネをしたままキスをして、その流れでコイトスまで及ぶ者もいるだろう。メガネは軽いので装着していても違和感がない。好評な理由がわかった。
・対象物品の肌は人間女子とそっくりに木目が細かい。普及型タイプでも充分だ。人肌に似せた特殊繊維の中にヒーター素材が折り込まれていて、わずかな電源で稼働するように電子式サーモスタットで一定の体温に保たれている。
・本体の電源はスマートフォン側でタッチ操作できた。メガネを掛けると、しばらくすると真っ黒な中から女が現れるのだ。実際に女が素っ裸で立っているように見えた。仮想ではなくて現実の中にいるようだった。
・私の性行為は変態的でなく、普通だと自覚している。普通の定義は何だろう。ほとんどの人間の交接目的が、生殖とリンクしていない。快楽目的だとすると、人間の性行為自体が生殖から逸脱し変態化している。普通でないことが普通になっている。それは万人が認識しているところだ。
・媒体の顔に口の部分がオプションで装着できる。オプションにはアナルとかもある。ここで、私の性的嗜好までインプットする必要はない。購入した履歴が残るからだ。どんな性嗜好があるか、データ管理されるのは嫌だ。現時点で標準装備を選ばざるを得ないのだ。
・メガネの耳に掛かるフレーム部分から音声が流れるようになっていた。女に似せた媒体から嬌声が出力された。スマートフォン側のボリュームで無音から大音量に調整できた。これも好みで音量を調節できた。
・若い頃、本当の人間と交わったことがある。十代の女性の肌と比較しても遜色はない。肌の感触は完璧だった。肌の張りが実際の人間よりもある。対になった乳房も設定通りに大き過ぎず小さ過ぎず、柔らか過ぎず固すぎず、私の好み通りだった。人間の女より女らしかった。それは私の過去に関わった女の肌の記憶を呼び覚ますものだった。
・バーチャルの仮想現実と人間の肌感覚が高度に融合されていた。スクリーン上で見たことのある女優がリアルな女として私の目前に現れた。予想以上の完成度だと言える。
以降は個人の体験版となるので別冊に掲載します。バーチャル内の見え方によっては、アンドロイドタイプのダッチワイフに進化しているといえます。多くのユーザーの感想がネット上で公開されています。そのレビューを見ると、個々人が一つとして同じ体験記録はないのです。そうであるなら、個人の生い立ちとかに関連する機微情報を含んだプライベートな部分になると思われます。
そうなると、私の体感も一個人のものでしかなくなります。もし、ここまでで興味を持っていただいたなら、続編として読んでいただきたいものです。個人の嗜好的な範疇に入るので、閲覧を強制することはできません。個人的な事例を印刷物として残しておきたかったのです。私の個人データはクラウド上で消去されたと聞いています。
前時代の遺物的存在であるアナログ印刷物として、その他の印刷物と一緒に廃棄寸前だと聞きました。
資料館内の、廃棄処置室前通路の一角に、テーブルがあります。そのテーブルの上に、私の続編が置いてあるそうです。興味がおありなら、訪問してください。印刷物の閲覧は自由です。
廃棄処分前の期間限定らしいので、急いでください。